椎茸プロジェクト概要

第一期プロジェクト終了・「みんなの翻訳」一般公開

2005年度から進めて来ました第一期のプロジェクトは2008年3月31日をもって終了しました。2009年4月9日をもって、本サイトの更新は停止します。第二期プロジェクトは2009年度から2012年度までの予定です。

第一期プロジェクトの成果として、2009年4月8日より、椎茸プロジェクトで開発されているQRlex/QRedit統合翻訳支援環境を組み込んだ翻訳情報発信サイト「みんなの翻訳」が公開されました。「みんなの翻訳」は、情報通信研究機構言語翻訳グループ東京大学大学院図書館情報学研究室の共同プロジェクトであり、三省堂が開発に協力しています。

公開にあたり、2009年4月6日に記者会見を行いました。INTERNET Watch、日経産業新聞(4月7日)に掲載されたほか、関連記事はこれからも新聞や関係誌等に掲載される予定です。

オンライン翻訳者を支援する

最近、既存のメディアが画一化された情報しか提供しなくなったため、インターネットを活用したオルタナティヴな情報流通が盛んになっています。その中で、ボランティアによる翻訳は極めて重要な位置を占めています。そうした翻訳者を支援するシステムを作るため、2005年度よりとりあえずは4年計画で、椎茸プロジェクトを立ち上げました。

従来の自然言語処理では、基本的に言語処理のプロセスを計算と見なしていたのですが、翻訳者をはじめとする実際に言語のプロダクツを作成する人々は、言語を歴史的に堆積したものと見なす感覚が大きくあります

実は、言語アーカイブの歴史性と言語実務活動との関連という点は、私の他の研究テーマである情報媒体構造論や言語メディア論における関心と通じています。

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このプロジェクトでは、辞書の諸相を強化するほか、言語コーパスの歴史性をきちんと保持したかたちで翻訳者が活用できるように、既訳文書を自動的にリサイクルするメカニズムの開発を行なっています。一見したところ機械翻訳の一手法である「用例ベース翻訳」のための用例収集に近い部分がありますが、理念的には、言語アーカイブをその歴史性を保持したまま活用するという観点を強く打ち出し、そのために必要な要素を考えていくという点で、既往の機械翻訳研究で採用されていた手法とはずいぶん異なります。

とりわけこのプロジェクトで重視しているのは、一人一人のオンライン翻訳者が自分の目的に活用することで、翻訳者同士の情報利用ネットワークが、翻訳者が労力をかけることなくバックグランドで自然に構築されるようにするシステムを構築することで、翻訳活動が全体として活発になること、という社会的側面です。

翻訳コミュニティ構築支援の一環として、最近では本プロジェクト当初計画では予定していなかった、初心者翻訳者支援モジュールの研究開発も始まっています。

翻訳支援システムとして、これまで様々に優れた製品が開発され専門翻訳者や企業などで用いられています。それらとの違いは、大体、三つあります。第一に、本プロジェクトではオンラインでのレファレンス情報源構築そのものが重要な要素となっていること。第二に、ボランティア翻訳者コミュニティの自然な創成を支援するという社会的側面を重視していること、第三に(これらと関係して)個人向けインタフェースをできる限りシンプルにしてあること(この点ではモントリオール大学を中心に開発されたTransTypeシステムに通ずるものがあります:ただし機能要素はまったく異なります)。

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オンライン翻訳に従事する人々の翻訳プロセス(認知的プロセスではなく翻訳物というプロダクツを制作するプロセス)については、翻訳によるイラク情報紹介を主体としたサイト戦争ではなくお茶をの運営スタッフやその知人の翻訳者グループ、そしてGlobal Voicesの日本語翻訳ボランティアにアドヴァイスをもらっています。

また工学的な側面については、名古屋大学佐藤研究室筑波大学宇津呂研究室岡山大学竹内研究室・仏ナント大学LINA-CNRS・仏グルノーブル大学/CNRS-GETA等と密接な関係を維持しながら研究を進めています。

システムの要素モジュールもインタフェースもプロトタイプとしては動き始めています。現在、一部のオンライン翻訳者の方々にモニター利用を行ってもらっています。

連絡先

東京大学大学院教育学研究科
図書館情報学研究室
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
電話・FAX:03-5841-3973
電子メール:kyo[ここに@]p.u-tokyo.ac.jp(すべて半角)

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